2009年9月27日日曜日

江戸から東京へ(三) 浅草(下)

浅草橋、蔵前、山谷堀、橋場に残る史蹟を中心に、北斎、広重、歌麿、清長らの浮世絵師の日常、蜀山人、宿屋飯盛にまつわるエピソード、新門辰五郎の逸話など、江戸下町の哀歓を生き生きと描く歴史散歩。三冊目はこのように史蹟にかかわる物語が珠玉のように書かれていて、まさに物語・小説を読んでいる心持になってしまう。中でも秘仏拝観記の話を楽しく読ませてもらいました。

2009年9月6日日曜日

江戸から東京へ(二) 浅草(上)

推古天皇の36年(628年)3月18日の早朝、土師臣中知という野見宿禰の末孫が、家臣檜前浜成、同武成という兄弟の素人漁師とともに、舟を出して網を入れていると、魚は少しも捕れずに、何度となく一寸八分の観音様が網にかかったので、土師臣も奇異に思い、その日は殺生をあきらめ、観音様だけ
拾って帰ったとある。これが金竜山浅草寺の濫觴だというから、なにさま海苔もとれたに違いない。

江戸から東京へ(一) 神田 日本橋他


随分前に購入して積読していた文庫本。管財室に勤務していた当時「江戸時代」に興味を持ち出して、同僚の斎藤氏と二人で休みにあちこっちと江戸の下町を散策しました。そんなある日上野の本屋でこの中公文庫を見つけ即購入しました。今は絶版になっており、貴重な8冊です。あの時から15年。今回初めて通読しました。この本の作者矢田挿雲をはじめて知りました。博学で碩学なユーモアのある文章に魅了されました。今この本に導かれまた江戸の町を散策しようという気持ちになっています。この文庫本をカバンに入れてひとりで歩く気分は爽快なもので、私の江戸時代に帰った気分になります。私の江戸時代というのは今まで自分が映画とか小説とかで覗いた江戸への私なりのおぼろげながらのイメージがあるからなのです。それは老若男女の上から下までの厳しい士農工商の世界での生き生きとした人間のエネルギーを感じているからなのです。一言でいえば「イキナ文化」というか「粋の文化」が最高に花開いた明るさに果てし無い憧れをもっています。この本はそんな江戸から東京への庶民生活を描いてくれました。今度は精読して挿雲先生の想いを少しでも感じ取りたいものです。