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本所番場に仮宅した蘭方位伊東玄朴の活躍を初め、シーボルト事件、相次ぐ外国使節の来朝、吉田松陰の密航、唐人お吉、ジョン万次郎の話など、風雲急を告げる幕末の世相と庶民の日常を巧みに描く東京歴史散歩。特に阿部伊勢守正弘の人物像の話は面白かった。色々なエピソードから最も粋な閣老として描いている。名宰相としては、寛政の改革の白河楽翁(松平定信)も、天保の改革の水野忠邦越前もあるが、政治上には、虚名よりも実績を尊び、私生涯には、寛大仁怨の徳をしき男からも女からも慕われ、花も実もある39年の短い生涯の側面に、桜餅屋の看板娘が、寄り添うとろなどはほかに真似人がない。